真空注型による試作モデル加工法は、流動状態の樹脂をゴム型に流し込み、熱・触媒・光等によって真空状態で反応させ成形する試作加工方法。マスターモデルの複製品を作る技法。
☆マスターモデル:複製品を製作する原型となる物。
メリット:10~20ケ程度の複雑形状の試作部品を切削よりも安価に早く入手できる。
デメリット:試作モデルの材質がウレタン樹脂(各種樹脂グレードはある)、シリコンゴム、6ナイロン、6ナイロンガラス入りに限定される。
真空注型による試作モデル加工法の最大の特徴は、短納期(約1週間)で約10個の複雑、薄物形状の試作モデルが製作可能であること。1~3個の試作であれば、切削加工あるいは光造形(形状確認であれば)による加工法で製作したほうが、試作工賃、納期ともにメリットがあるが、数量が多くなれば、逆に真空注型による試作モデルの方が有利となる。シリコンゴム1型で20~25個製作可能である。真空注型による試作モデルの大きさは一辺1,000mm角程度まで可能である。しかし、試作モデルの材料がウレタン樹脂、シリコンゴム、6ナイロン、6ナイロンガラス入りに限定されるため、量産と同じ材料での製作はできない。ただし、真空注型による試作モデルはウレタン材料のグレードに種類(ABS、耐熱、透明、PP、エラストマー等)があるため、相対的な試作評価は可能である。真空注型による加工法の精度は、切削、量産射出成型より劣る。試作モデルの形状にもよるが100個以上場合は簡易型での射出成型による試作加工法が向いている。
真空注型による試作モデル加工法は、自動車分野、電機、医療等様々の分野の試作としての実績がある。